研究内容(過去に行った研究もあります)
コンクリ―トレーダコンクリート内の様々な様子を非破壊で検査するレーダです。
鉄筋コンクリート(RC)構造物の劣化過程では塩害,凍害,ASR,乾燥収縮,疲労等の様々な外的要因により,コンクリ―ト内部にひび割れや膨張圧増加,鉄筋腐食が発生し,それらが連鎖的に進行することが知られている.従来のRC構造物の劣化診断の中でも電磁波レーダ法は、簡便、高精度な探査法の一つであるが、ほぼ鉄筋の位置の評価にしか使われていない。そこで、様々な付加価値を持ったRCレーダについて研究している
加振レーダによる鉄筋腐食の定量評価鉄筋を電磁石で揺らしてその揺れ具合を見るレーダ
励磁コイルにより内部の鉄筋を加振し、その振動変位をレーダによって非破壊的に計測する手法であり、従来技術に同様の概念の手法はなく、新規な研究開発である。この計測では加振によるドップラ効果により、鉄筋の振動成分と非振動成分を計測でき、さらに、鉄筋からの反射振幅比から振鉄筋動変位を求めることができる。強制的に鉄筋を腐食させる電食実験によって、電食を行いながら、鉄筋振動変位のモニタリングを行ったところ、最初は振動変位が低下するものの、その後、表面ひび割れ発生付近で、振動変位が大幅に増加する結果が得られた。これにより、鉄筋腐食僚の評価やひび割れの検知といったコンクリートの劣化評価への応用が期待できる。
当研究は現状で供試体レベルでの実証であり,実フィールドでの調査が十分ではありません. 鉄筋腐食の調査に興味のある企業様.無料で計測に伺わせて頂きますのでぜひご連絡下さい.
ぐんま未来イノベーションLAB主催「インフラ×デジタル」で目指す持続可能な地域産業の構築に関するセミナーで講演した加振レーダ技術の説明動画です.(約20分)
細径配線探査用レーダフリーハンドでのアンテナ走査によるイメージングレーダの開発
近年,既設鉄筋コンクリート建造物の補強工事やリニューアル工事において既設コンクリートのはつりやコア抜きを行う際、鉄筋よりも径の細い電力配線等を損傷するといったトラブルが発生している。深さ30cm程度までの鉄筋はRCレーダにより探査可能であるが、配線が細い場合、アンテナの向きによっては探査困難な場合がある。そこで、アンテナの向きに依存しない円偏波を用いたRCレーダ用アンテナや、マウスセンサを2個用いたアンテナ測位によるフリーハンドでの走査が可能なイメージングレーダシステムを開発している。
フリーハンドレーダによるコンクリート供試体内の細径配線のイメージング結果
フリーハンドレーダによるレーダ走査の様子(8倍速)
ドリルモニタリングレーダドリル穿孔時のドリル先端の進展具合をレーダでモニタリング
RC構造物リニューアル工事の際のドリル穿孔作業において既設鉄筋を損傷するトラブルも多発しており,ドリル進展の様子をRCレーダでモニタリング可能なレーダシステムの開発を行っている。基本アイデアは送受信アンテナ間隔を離したバイスタティック配置とし,その中央でドリルの穿孔を行う。レーダ波には送受信アンテナ間の直達波に加え,鉄筋からの反射波が受信されるがこれらは穿孔中には動かない。一方,その間にはドリル先端からの回折波が受信され,進展とともに到達時刻が遅れて受信される。これらをうまく分離して計測することが必要となるが,ドリルは回転しているため,その反射波は特定のドップラ周波数を持つ。そこで,研究室内で新たにパルスドップラレーダシステムを開発し,ドップラフィルタリングにより,ドリル先端のみをモニタリングするシステムを開発している。
パルスドップラレーダによるドリル先端の移動軌跡計測例
コンクリート穿孔中のドリル先端の反射波形の例
アクセシブルレーダ対象に近づいて計測するレーダです。
施工時の安全管理においてマイクロ波レーダを用いた点検・診断技術の利用が期待されている。中でも、前方を計測しながら掘削行うMeasurement While Excavating (MWE)レーダ技術等、レーダの近くをより詳細に診る技術が注目されており、今後の土木技術における安全管理、自動化、情報化施工に極めて重要な技術となり得る。我々はこのような対象に近づきながらレーダ近傍の様子を詳細に把握する技術をアクセシブルレーダ技術と呼んでいる。
地中建機用MWEレーダパワーショベル等の掘削バケット前方探査用アクセシブルレーダの開発
地中建機等において地中前方をレーダで探査しながら掘削するためのレーダです。地中建機のバケットによる開削時に、開削面下部を探査するためのレーダ用のアンテナをバケットと一体化させ、リアルタイムに開削面から深さ30 cm程度をイメージング可能なMWEレーダを開発。実機のパワーショベルのバケットに開発したアンテナを設置し、埋設した塩ビ管上をイメージングしながら掘削し、塩ビ管の検出を可能とした。
コアドリル用MWEレーダRC構造物掘削用コアドリル前方探査用アクセシブルレーダの開発
近年、大規模なコンクリート構造物の耐震補強の必要性が叫ばれている。これのため、既存コンクリート内にドリルで掘削し補強を行う手法が用いられるが、掘削により既存の鉄筋を傷つける事故が後を絶たない。壁面からコンクリート内を探査できるのは30cm程度までであり、より深部を探査するために、掘削するコアドリルの円筒形のドリルビットに指向性アンテナを一体化させ、リアルタイムに前方監視しながら対象に接近していくMWEレーダの開発を行っている。図は開発したアンテナによりコアドリルによる掘削と、アンテナによる前方のレーダ測定を交互に繰り返しながら、掘削を行っていったときのレーダ波形を並べたものであり、横軸がレーダ波形の時間軸、縦軸は鉄筋とのアンテナ先端目での距離である。前方に鉄筋が有る場合は顕著な反射波が2cm手前から見えており、6cm手間からでも反射波を検出できている。一方、鉄筋が前方にない場合は、顕著な反射波は見られないことがわかる。
加振を用いた応用イメージング加振波とセンシング波をつかったイメージングに関する研究です。
一般に、波動を用いたコヒーレントなイメージングシステムではセンシング用の波のみを用いて、イメージングが行なわれる。我々はさらに、加振により対象を振動させ、そのドップラ効果による振動成分を計測することにより、今まで得られなかった新たな情報を得るための研究を行っている。
バイブロドップラ超解像法画期的な光学ライブイメージング技術を目指しています。
一般に、波動を使ったコヒーレントなイメージングでは、送受信センサの波長、形状から定まる点広がり関数が有限の大きさになっており、無限に細かく物体をみることはできない。分解能と解像度は違う。デジタルカメラでいう解像度は画素の細かさのことであるが、いくら1画素を細かくしても光の波長程度より細かい変化を観測することはできない。この制約を超える分解能を実現する手法を超解像法と呼んでいる。本研究では、計測対象を加振し、そのドップラ成分をイメージングするバイブロドップラ計測により、対象の反射係数分布の波数スペクトルが加振波の波数だけシフトする空間変調効果を新たに見出した点に特色がある。さらに、「加振による空間変調」画像を復調し、合成する全く新規な「バイブロドップラ超解像イメージング法」を提案する。
周波数掃引バイブロドップライメージング固定センサによる空間の新たなイメージング法
提案する手法は、センサをスキャンさせることなく広範囲の画像化が可能なことに大きな特徴を有している。計測対象の空間分解能を得るために、加振周波数を掃引しながら上記バイブロドップラ計測を行う。『バイブロドップラ計測』は計測対象を傾かせた際に得られる反射信号と等価」であり、加振周波数を変化させれば、等価的にその傾きを制御できることになり、固定計測系において計測対象の回転と等価な逆合成開口処理が可能になる。図のような孤立した物標1,2の加振ドップラ信号の位相は周波数掃引により線形に変化し、その位相の傾きは加振源から反射体の距離に比例するため、得られる加振ドップラ信号を加振周波数に対して逆フーリエ変換すれば、加振波の表面伝搬に伴う空間的な反射係数分布が得られる。
地中レーダ過去に行った研究です。
地雷探査レーダ
従来地中探査用のレーダとして用いられてこなかった、微小アンテナを用いて、振動方向の組み合わせやアンテナ配置を最適化することにより、金属探知機ででは検知できないプラスチック地雷も探査可能な対人地雷用の探査レーダ。
埋没生存者探査レーダ
がれき等に埋もれた埋没生存者の呼吸による横隔膜の運動を、周囲に広範囲に張り巡らせた送受信アレイアンテナによりそのドップラー変位を計測し、その位置を高分解能に推定する250MHz帯の埋没生存者探査レーダの開発。5GHz帯の送受信アレイレーダを用いて、簡易的に3次元的な分解能を持たせた、ドップラー計測システムの開発と呼吸モニタリングシステムへの応用も
ポラリメトリックボアホールレーダ
地中の埋没物等の探査を目的とした従来の坑井を用いるボアホールレーダでは、伝播媒質の減衰が大きいために、50 cm以上の波長帯域が利用されていた。氏は、新たに直交する偏波を放射する導体円筒側面上スロットアンテナを導入し、周波数特性の違いを信号処理により補償することで高い分解能を得る坑井内偏波レーダシステムを世界で始めて構築し、岩盤中の空洞内面の10 cm程度の表面粗さまでも映像化することに成功した。
MUitiple SIgnal Clasification (MUSIC)法坑井間計測に始めてMUSIC法を導入することに成功しました。
従来法では困難であった二つの坑井間に挟まれた反射体(道路下の埋設パイプ等)の映像法として、超解像法の一つであるMUSIC法を導入し不均質な土壌中においても位置推定が可能なことを示した。